1.背景、目的 三相モータは単相モータに比べて効率が良いため、その利用は省エネルギーに大きく役立つが、家庭などのように三相配線が無い場所では使うことが出来ない。従って、単相電源で三相回転磁界を有するモータが実現できれば、実用上極めて有用である。筆者は既に、単相電源で三相回転磁界を有するパラメトリックモータの実現が可能であることを明らかにしているが、磁心の非線形性に基づくパラメトリック発振現象を利用しているため、その実現は容易でない。本研究の目的は、このパラメトリックモータにおいて、三相回転磁界を安定に得るための方法を明確にすることである。本年は主として、固定子に磁気異方性材料を用いたモータに関して検討を行った。 2.本年の研究によって得られた新たな知見 (1)固定子に磁気異方性材料を用い、固定子内磁束分布が不平衡となるように磁化容易軸を適当に配置することで、三相に類似した波形が得られ、発振が安定になることが明確になった。 (2)磁化容易軸の配置法は、励磁側磁極にある程度磁束を通しやすくすること、かつ2系統の共振側に多少なりとも不平衡を作りだすことが有効であることが明らかになった。 (3)本モータの三相電圧を生成する発振現象は、非線形連立Mathieu方程式で表されることが明らかとなった。また、それらの電圧は、発振電圧の初期値で決定されることも明確になった。
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