本研究は、電池電力貯蔵システムに適した電流形コンバータ(変換装置)を検討し、以下の成果を得た。 まず、小容量機器を対象として、一般家庭に配電されている単相三線式配電系統に接続することを前提とした新方式の電流形インバータ(直流-交流変換装置)システムを提案した。その構成は通常の三相電流形インバータと同じであり、スイッチング素子6個と直流リアクトルのみで、出力変圧器は内蔵しないが、系統の柱上変圧器を流用することにより、小型軽量装置で単相2段縦続接続方式と同等の波形改善効果を挙げることができる。直流電源から系統へ放電時の特性を実測し、その効果を確認した。さらに、この装置内の直流リアクトルの小容量化を検討し、当初提案した方式に比べ、約2桁も小さなリアクトルで十分な特性を得ることができた。 次いで、中、大容量機器を対象として、三相系統に連系する三相電流形コンバータにおける新しい制御方式を、提案した。系統に連系した場合、複数のスイッチング素子に重複して信号を与えても、系統電圧の大小関係で決まる特定の1素子のみがオン状態となる事に注目し、制御パターンを大幅に簡潔化する事が出来た。この結果、従来の制御方式に比べて、電流パルスの設定方法は大幅に自由度が増すことができたので、系統相電圧に比例したPWM位相制御方式を考案した。これをコンバータ(交流-直流変換装置)に適用して電池充電時の特性を、続いてインバータに適用して系統へ放電時の特性を検討した。しかし、充分な高調波低減効果とは言い難かったため、PFM方式とPWM方式を併用したパルス設定法に改革した。これをインバータに適用して、系統連系ガイドラインを十分に満足できる制御方法が確立できた。
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