ディーゼル排ガス温度で無声放電とオゾン注入法によるNOx低減を目指して、実験システムを構築した。すなわち、2.4kVAのディーゼル発電機の排ガスをクーラにより温度制御し、40℃から220℃までの排ガス温度にして、NOの除去性能を調べられるようにした。実験は、排ガスを直接無声放電で処理する直接放電法と、排ガスとは別のところでオゾンを作り高温度の排ガスにオゾンを注入する方法の2つについて行った。直接放電法では、ガス温度が90℃から130℃の範囲で、NO除去効率が高くなることが分かった。130度を超えると180℃まで少しずつ効率が低下する。また、炭化水素を添加するとNO除去効率が向上するが、ガス温度150℃では、30℃付近のガス温度に対してほぼ同じか、やや効果が大きくなる傾向が見られた。一方、オゾン注入法では、220℃まで実験を行ったがNO除去性能は、やはり130℃付近からやや低下傾向が見られた。高温度ではオゾンが破壊され効果が出ないという事前の予想に対して、220℃まで一定のNO除去性能が保たれることが分かったのは、実用面で大きな意味を持つ。すなわち、直接放電法では排ガスが放電装置を通るので、放電装置が劣化する欠点があるが、オゾン注入法では、放電装置はクリーンで実用上寿命が長くなるからである。 この研究は、排ガス温度でNO除去効率を高めるのが目標である。220℃からさらに高温度で実験ができるように排ガスを再加熱する装置を設計製作した。これを使って、最大400℃程度まで温度範囲を広げて、炭化水素添加の効果、触媒の併用効果、オゾン注入法の適用限界などを調べていく予定である。
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