研究概要 |
2.4kVAのディーゼルエンジン排ガスを直接放電装置に流す場合,ガスが流れるフローラインから熱が奪われ、エンジン出力1kWでは,最高温度を160℃程度にしか上げることができなかった.出力2kWでは220℃まで温度が上がるが、放電装置が煤で汚れ,正常な放電をさせることができなかった.そこで,実験は1kWで行ったが,130℃付近で35g/kWhの比較的高い効率が得られた. さらに温度を上げるため,排ガス流量の1/10を使い電熱器によるガス加熱装置を加え,かつフローラインの熱絶縁を強化した小型の実験装置2セットを製作し、250℃までの実験を行った.高温度では,電極のアルミニウム箔が変形するなどして正常なバリヤ放電が得られないなどの不具合が多く起こったが,種々の対策を行って,実験ができるようになった。その結果,温度が上昇するほどNO除去効率が上がり,250℃では、50%のNOを除去するという条件で約60g/kWhという高い効率が得られることが分かった。 また,高温度でのバリヤ放電の放電開始電圧を測定した結果、高温度でのガス密度低下による放電開始電圧の降下特性を求めることができた。また,バリヤ放電のミクロな構造とラジカルの拡散を考慮したNO除去反応の計算機シミュレーションを行った結果,常温より高温度の方が効率は高いが、温度が高すぎると効率は低下する傾向も出てきた. 以上,排ガスの高温度領域では,40から60℃の低温度より明らかにNO除去効率が高まること,220℃の高温度でも,オゾン注入によるNO除去が可能であることを、2年間の研究で明らかにすることができた.
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