ディーゼルエンジン排ガス中のNOxを無声放電で除去する方法において、排ガス最高温度400℃までを目標に排ガスの温度によるNO除去効率の変化、および高温ガスに対する炭化水素添加効果の変化を調べる目的で研究を進めた。 平成14年度は、2.4kVAディーゼル発電機の排ガスを対象にして、400℃までの高温度に耐える新しい実験装置を設計製作し、ガス温度は約150℃強までのNO除去性能を調べた。NO除去効率は90℃から130℃にかけて向上し約30g/kWhの効率が得られることがわかった。エンジン全負荷で排ガスを放電装置に通すと「すす」が付着し、放電を不安定にするので、外部でオゾンを発生させ、排ガスに注入するオゾン注入法によるNO除去実験も行った。高温度ではオゾンが熱的に分解するので、NO除去性能が低下すると予想されたが、約180℃までNO除去が可能であり、NO除去効率は、130℃以上で少しずつ低下する結果がえられた。 平成15年度は、排ガスをヒーターにより過熱する装置を追加してガス温度を220℃まで上昇させた結果、NO除去効率は30から35g/kWhと高いことが確認された。さらに排ガスの10%だけを通す小型の実験装置を新たに設計製作し、250℃までのNO除去実験を行った結果、250℃でNO除去効率が最大60g/kWh程度まで上昇する実験結果が得られた。 40℃から60℃では、NO除去効率は、20から25g/kWhであるから、排ガスは高温度処理の方が高効率で処理でき、炭化水素添加の効果は、220℃までは低温度ガスの場合と大差ないこと、さらに200℃程度までは、オゾン注入法がNO除去法として使えることを明らかにすることができた。
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