第1章 まえがき 本研究では大気自然環境におけるレーザ誘雷法に関わる基礎的知見を理解する観点から、大気圧空気中の不均一電界ギャップの誘導放電効果について、プラズマ生成のレーザ光電力密度とエアロゾル粒子の依存性を調査することを目的としている。本実験装置の点集光法と線集光法では、CO_2パルスレーザの光電力密度は約700倍異なるため、光電力密度変化と模擬エアロゾルの有無を条件として(a)プラズマ内部エネルギー、(b)誘導放電特性(電圧しきい値、遅れ時間、放電経路)を実験的に検討する。 第2章 大気圧空気中のレーザ生成プラズマ挙動に関する研究発表 大気圧空気中でCO_2パルスレーザ光を点集光して生成された1個の発光プラズマを対象として、1μsの高速応答可能な3本の等面積リングチップのトリプルプローブの電流法を用いて、プラズマ内部エネルギー計測を行った。その結果、焦点位置での発光プラズマは電子温度4.0eV、イオン密度1O^<21>m^<-3>であり、非発光状態においても極端な減衰は無く、100μs以上まで維持された。 第3章 浮遊粒子を含む大気圧空気中の不均一直流電界ギャップのレーザ誘導放電に関する研究発表 エアロゾル粒子を模擬した線香煙粒子を含む大気圧空気中に出力25WのCO_2パルスレーザ光を入射して、焦点距離150mmの凸レンズおよび円筒レンズでプラズマ生成を行い、不均一直流電界ギャップ中で放電の経路、しきい値電圧および遅れ時間などから誘導放電特性を実験的に調べた。なお、エアロゾル粒子分布の均一性は照射されたHe-Neレーザ光強度の散乱観測から判断し、エアロゾル粒子の有無による相対密度上昇比率は約6×10^5程度であった。その結果、焦点位置のレーザ光電力密度は点集光法に比べ線集光法は約1/700にも関わらず、エアロゾル条件では微粒子の帯電効果により誘導放電が可能であり、放電経路も直線状であった。
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