研究課題
基盤研究(C)
近年、大規模で複雑な工学システムが社会において重要な役割を果たすようになってきており、当該システムの特性を確実かつ効率的に評価する手法を確立することが強く要請されている。評価手法は解析的手法とシミュレーション手法に大別できるが、計算精度を十分に確保する必要がある場合には、後者を採用するのが一般的である。この場合、漫然と網羅的にシミュレーションを実行したのでは、計算コストに見合うだけの評価結果を得ることができない。そこで、シミュレーションの実行とシステムの最も重要な特性評価関数の生成を他方の結果を反映しながら、交互に繰り返し、徐々に精度の高い関数を生成し、最終的に得られた関数を用いて当該特性を評価する手法を着想し、これを代表的な大規模・複雑系である電力系統に適用した。系統計画や運用上最も重要な特性である過渡安定度が主として故障除去時間と系統負荷によって支配されることに着目し、臨界故障除去時間関数CCT(W)を新たに定義した。ここで、CCT(Critical Fault Clearing Time)は臨界故障除去時間(これ以上故障を除去する時間が長くなると過渡安定度が損なわれ、発電機が脱調する限界の時間)、また、Wは系統負荷である。本研究では、シミュレーションを実行することにより生成した臨界故障除去時間関数を用いて過渡安定度を評価する手法を開発し、これをモデル系統に適用した。その結果、次の事項が明らかになった。(1)本手法を用いることにより過渡安定度を高精度かつ効率的に評価可能である。(2)本手法を利用することにより、過渡安定度に及ぼす系統構成、構成機器、制御系、保護系等の設計要素の影響を高精度かつ効率的に評価可能である。(3)本手法は上記特性を備えているため、実務に使用可能である。今後本手法をより多様な系統や設計要素に適用し、それらの結果に基づいて改良することにより、本手法の有効がさらに増すと期待できる。
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