磁気ディスク記録媒体においては、記録ビット長が10nm以下となる超高密度テラビット磁気記録媒体の技術開発が進められている。テラビット媒体実現には媒体磁化の空間的・時間的磁気ゆらぎにより発生する媒体ノイズの低減が最重要課題であり、ナノサイズ空間分解能での動的微細磁化状態解析法が必要不可欠となる。このため、本研究では、1)空間分解能5nm以下のナノ分解能磁極分布顕微鏡の開発、2)ナノ分解能磁極分布顕微鏡を用いた局所ナノ領域での動的微細磁化状態解析法の確立、および3)テラビット磁気記録媒体への動的ナノ分解能磁極分布顕微鏡の適用および微細磁化状態と媒体物性・媒体特性との相関の解明、を目的として以下の結果を得た。 1.高保磁力・L1_0型FePt規則合金探針を開発し、磁場中動的観察で空間分解能10nmを得た。更に分解能向上のため、(1)現行の磁気記録媒体をターゲットとして、探針先端の側面部を三角形状および楕円形状に先鋭化した探針、および(2)次世代の低ビットアスペクト比超高密度磁気記録媒体をターゲットとして、探針先端を回転楕円形状に先鋭化した探針、について、その伝達関数を計算し探針の熱ノイズで決定される分解能の理論的限界値を評価した。その結果、楕円形状探針および回転楕円体探針は5nm以下の高い分解能をもつことを明らかとした。現在これら探針の作製を進めている。 2.局所ナノ領域での動的微細磁化状態解析を目的として、シンセティックフェリ媒体、パターン媒体等、次世代のテラビット磁気記録媒体材料について、磁場印加MFMを用いて磁場中MFM動的観察を行い、印加磁場方向および強度が異なる像の差分から、局所領域での保磁力マッピングに成功した。
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