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2003 年度 実績報告書

高均一半導体量子ドットへのスピン偏極電子の注入と制御

研究課題

研究課題/領域番号 14550294
研究機関電気通信大学

研究代表者

山口 浩一  電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (40191225)

キーワード量子ドット / 分子線エピタキシ / InAs / GaAs / GaSb / スピン / ナノホール / 走査型トンネル顕微鏡
研究概要

平成15年度は、高均一なInAsおよびGaSb量子ドットの自己形成法の検討と量子ドットへの局所的なキャリア注入法に関して検討を進めた結果、以下の研究成果を得た。
1.高均一InAsおよびGaSb量子ドットの自己形成:これまで研究開発を進めてきた高均一の自己形成条件を基に、さらに成長構造と成長条件の関係について調べた結果、超低成長速度(約0.03分子層/s以下)の条件において、InAsドットの側壁面に{111}Bの新たなファセット面が形成されやすいことが分かり、この高アスペクト比のドット構造により高さ方向のサイズ揺らぎの抑制と量子準位の低エネルギー化が確認された。またGaAs基板上のGaSb量子ドットの自己形成においては、成長中断中におけるドット構造の均一化現象が観察され、発光半値幅49meVの高均一化を得ることができた。
2.InAs量子ドットの結合したGaAsナノホールの自己形成制御:GaAs層で埋め込まれたInAs量子ドットの基盤をアニール処理すると、量子ドットの直上のGaAs層のみにナノホールが自己形成される現象が観察され、このナノホールサイズの制御性について調べた。ナノホールサイズはアニール時間の増加と共に増大し、その後埋め込み層の歪緩和によってナノホールサイズの飽和が観察された。さらにアニール時間が長くなると、ナノホールがInGaAs層で埋め戻されることが分かり、デバイス応用においては、ナノホールサイズが比較的揃った飽和サイズ状態で用いることが有効であり、そのナノホール上に堆積した金属蒸着膜より量子ドットへ局所的にキャリアを注入することが可能であることを示した。
3.Ni磁性深針を用いたスピン偏極走査型トンネル顕微鏡(SP-STM)の開発:埋め込まれた個々のInAs量子ドットにスピン偏極電子を局所的にトンネル注入するもう一つの手法として、磁性探針を用いたSTMを用いることを提案しており、そのためのSP-STMの開発および基礎実験を行った。多結晶Ni細線の電解研磨によりNi探針を作製し、GaAs基板上にスパッタ蒸着したNi薄膜表面についてスピンに依存したトンネル電流を検出した。この実験的に得られたトンネルコンダクタンススペクトルはNiのスピン状態密度から計算されたスペクトルとほぼ同様な傾向であることを示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Kaizu et al.: "Uniform Formation of Two-dimensional and Three-dimensional InAs Islands on GaAs by Molecular Beam Epitaxy"Japanese Journal of Applied Physics. Vol.42, No.4A. 1705-1708 (2003)

  • [文献書誌] S.Iwasaki et al.: "Shape Transition of InAs from 2-Dimensional Islands and 3-Dimensional Dots by Annealing"Applied Surface Science. Vol.216. 407-412 (2003)

  • [文献書誌] T.Kaizu et al.: "Facet Formation of Uniform InAs Quantum Dots by Molecular Beam Epitaxy"Japanese Journal of Applied Physics. Vol.42, No.6B. 4166-4168 (2003)

  • [文献書誌] T.Kitamura et al.: "Direct Observation of Phonon Relaxation Bottleneck in InAs Quantum Dots of High -Uniformity"Physica Status Solidi (c). Vol.0, No.4. 1165-1168 (2003)

  • [文献書誌] M.Murayama et al.: "Observation of Spin Pauli Blocking in InAs High-Uniform Quantum Dots"Physica Status Solidi (c). Vol.0, No.4. 1145-1148 (2003)

  • [文献書誌] Y.Suzuki et al.: "Controlled Stacking Growth of Uniform InAs Quantum Dots by Molecular Beam Epitaxy"Physica E. Vol.21/2-4. 555-559 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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