研究概要 |
II-VI族半導体量子ドットの作製にはMBE装置を用いた。基板にはGaAs(100)を用い、高品質ZnSeバッファ層を成長後、自己形成法によってCdSeの量子ドットを作製した。CdSe量子ドットの作製においてCdとSeの個別原料を用いて作製した試料では、室温のホトルミネセンス(弱励起、300mW/cm^2以下の条件)測定において、発光が観測できなかった。そこで原料として高純度のCdSe化合物を用い、ホトルミネセンスを測定したところ、室温で緑色発光が観測できた。供給原料にCdSe化合物を用いることにより、分子量の小さいSeと高温のCd原子が成長表面に供給され、表面マイグレーションが促進された結果高品質の量子ドットが作製されたと考えられる。種種のCdSe供給量でCdSe量子ドットを作製した試料の発光強度の測定から、最適なCdSe供給量は2.0MLと求まった。 量子ドットにCdSeTe混晶を用いると、導電帯と価電子帯の両者とも大きなバンドオフセットがとれ、電子、正孔の高い閉じ込め効果が期待できる。そこでMBE法では初めてCdSeTe混晶を作製した。基板はGaAs(100)を用い、Cd, Se, Teを原料とし、CdSeTe薄膜を約1μm成長させた。組成比はX線回折から求めた。Cd安定化面が得られる成長条件の下でSeとTeの分子線強度比を変化させることにより、全組成域で任意の混晶比の試料が作製できることを明らかにした。また簡単な成長モデルからSeとTeの付着確率はそれぞれ0.1、1と求められた。
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