平成14年度における計画においてZnO-In_2O_3系の透明導電膜作製においては、ZnO (Al不純物添加なし)とIn_2O_3のターゲットを同時にスパッタし、おのおののスパッタ電流を変化させることで薄膜中のZnとInの組成比を変化させた。膜作製のパラメータとして(ZnOの電流)/(ZnOの電流+In_2O_3の電流)を選び、δで表す。その結果、Znの組成比が小さいときにはIn_2O_3相が現われるが、適度な組成比(δ=0.15-0.6)においてはアモルファス相があらわれた。このアモルファス相の抵抗率は非常に低いことが見出された。さらに、ZnO中にAlを添加することで広い範囲で抵抗率の低下が見出された。透明度は結晶相と同様に可視領域において非常に良好なものであった。また、アニーリングをすることで、膜の表面の平坦性が向上した。このような結果はこの系のアモルファス膜が透明導電膜としての応用において有利な点である。つぎに、ZnO-SnO_2系について同様の膜作製を行い、各δ値において結晶構造、抵抗率、透過率について調べた。その結果、この系においてもアモルファス相が存在しうることを確認した。δ=0.5においてアモルファス相における最低の抵抗率を示した。アニーリングするとSnO_2の回折線が現れた。δ値が0.5より増大すると急激に低効率の上昇した。これらの膜をアニーリングするとZn_2SnO_4相が現れる。これはZnの組成比の増大とともにSnO_2がアモルファス状態になるが、アモルファスSnO_2の中にZn_2SnO_4に対応するアモルファス相も形成され、その結果、アモルファス膜のなかに粒界が存在してしまうものと考えられる。透明導電膜としての特性は現在のところ良好とはいえないが、アモルファス膜としての意義があると考えている。
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