希薄磁性半導体の光磁気特性についてのこれまでの検討から、三元系CdMnTeを改良した四元系CdMnCoTe薄膜でファラデー特性が大幅に向上することを見出したが、平成14年度は、CdMnCoTe膜のセンサ等への応用を図るための検討を進めた。 磁界センサ等への希薄磁性半導体膜の応用形態として、膜面垂直入射の空間光を用いる場合と膜面内の導波光を用いる場合とがある。当年度は空間光を用いる磁気光センサにCdMnCoTe膜を応用する場合の問題点を検討した。 (1)石英基板のファラデー回転特性の評価による基板厚と希薄磁性半導体膜の膜厚との関係把握。 (2)希薄磁性半導体膜の厚膜化(数μm)。 この結果、膜面に垂直な空間光(LD 635nm)により、交流磁界振幅5.8kOeで希薄磁性半導体膜のファラデー特性を直接受光器で捕らえることが出来た。実験結果は、2002年IEEE Intermag Conference(Amsterdam)と2003年IEEE Intermag Conference(Boston)で発表した。現在、磁気光センサへの応用を図るべく特性の改善を続けている。CdMnTeでは、磁化率xがキュリー・ワイスの法則に従うとされるが、CdMnCoTeも同様と考えられ、室温でのファラデー回転θ_Fの向上はこのxの増加に、またそのxの増加の機構はMn^<2+>とCo^<2+>の局在スピン間の磁気的相互作用にあると推測される(θ_F∝Kx)。磁気結合は、θ_Fおよび磁化Mの温度特性等の検討から明確にできると予測されるが、今後組成についての細かい検討や結晶基板上に膜をエピタキシャル成長させるなどの技術を用いた希薄磁性半導体膜の光磁気特性向上による実用化検討と共に、四元系CdMnCoTe膜の磁気光特性向上の機構も明確にして行きたい。
|