研究概要 |
幾つかの炭素材料の調製または熱処理し,電子顕微鏡観察および電気的特性の測定等を行って,炭素ナノ構造を解析した.電子顕微鏡観察においては画像処理を施して,顕微鏡像の定量解析法を検討した. 透過電子顕微鏡(TEM)像から活性炭の細孔分布を求めることを目的として,超微細孔を有する活性炭をTEM観察し,位相差コントラスト強度を表す対物レンズの位相差コントラストの伝達関数(以下,伝達関数と略記)と比較検討した.伝達関数の計算には電子線照射角等による減衰特性を考慮した.アンダーフォーカスΔf変化させてTEM観察を行い,得られたTEM像にHamming Windowによるウインドウ処理を施した後,2次元高速フーリエ変換(2D-FFT)を行った.パワースペクトル(PWS)をその中心点について回転方向に積分し,強度を線形表示した.Δfの違いによりパワースペクトルの強度分布が変化する.減衰特性を考慮した伝達関数の最初のピークの絶対値が0.5以上となる範囲はTEM像のコントラストが強く現れる空間波長領域であり,像についての論議が成り立つと考えられる.このことを利用して,活性炭のようなアモルファス炭素材料の構造のTEMと画像処理による解析法を進展させた. 同手法を用いてアモルファス炭素材料の一種であるpolyparaphenylene(PPP)炭について熱処理による組織,微細孔の発達の様子を検討した.開発した粉体抵抗測定装置により試料の抵抗を測定し,低効率の変化と微細構造との関係を調べた.ピッチ系炭素,カーボナノファイバー等についても同手法を適用し,ナノ構造の解析を行った.
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