研究課題/領域番号 |
14550322
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山沢 清人 信州大学, 工学部, 教授 (50005477)
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研究分担者 |
佐藤 敏郎 信州大学, 工学部, 教授 (50283239)
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キーワード | USB / IEEE1394 / HDMI / コモンモードフィルタi / フェライト粒子 / ポリイミド / スクリーン印刷 |
研究概要 |
平成15、16年度の検討によって、GHz帯におけるバランスモードとコモンモード信号に対して10dB以上の減衰量差を得るためには、縦方向に配置された2本の導体ライン間に厚膜非磁性誘電体層を挿入して、これらを磁性複合材料膜で被う基本構造が有効であることが明らかにされたが、最終焼成時に異種の厚膜材料の熱収縮率の違いによって多数のクラックが生じる問題があった。平成17年度は、デバイス試作時における複合材料膜のクラックを抑制する手法の検討、ならびにデバイス試作と特性評価を行った。 (1)GHz帯コモンモードフィルタの試作 デバイス作製時のクラックを抑制する手段として、上下Ag導体ライン間の非磁性誘電体として粒径5μm程度のSiO_2フィラーをポリイミド中に分散させた非磁性複合材料厚膜を採用してスクリーン印刷法によるデバイス試作を行った。ガラスフィラーとポリイミドの体積比率をフェライト複合材料と同じ1:1に設定することで、非磁性複合材料とフェライト磁性複合材料の熱収縮を同程度にでき、この結果、300℃の最終焼成後におけるクラックをほぼ完全に抑制できることを明らかにした。試作したコモンモードフィルタのチップサイズは、7.0×7.5mmである。 (2)試作コモンモードフィルタの信号伝送特性 試作コモンモードフィルタを4ポートネットワークアナライザによって信号伝送特性を評価した。その結果、GHz帯コモンモード信号に対して15dB以上のコモンモード減衰量と3GHzで50dBの最大減衰量が得られた。GHz帯バランスモード信号に対する減衰量は15dB以下であり、試作デバイスがGHz帯コモンモードフィルタとして十分な性能を有することが明らかとなった。 (3)今後の課題 試作コモンモードフィルタはGHz帯の広い周波数帯において大きなコモンモード減衰量を有するが、バランスモード信号に対する挿入損失が大きい。Gbps差動ディジタル信号インターフェースに適用するには、バランスモード挿入損失を3dB以下に低減する必要があり、磁性複合材料の高透磁率化による磁気結合の向上が今後の課題である。現在、フェライト複合材料の代替として金属磁性複合材料の開発を別途進めており、従来に比べて2倍以上の透磁率が得られる見通しを得ている。本研究期間終了後も、金属磁性複合材料を用いた広帯域コモンモードフィルタの開発を引き続き実施していく予定である。
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