研究概要 |
1.SOI基板の結晶性評価 (1)SOI基板中キャリア濃度分布の熱処理による変化:SOI基板中キャリア濃度分布の熱処理による変化を測定した。この変化はSOI基板のSi層厚と熱処理温度に依存する。1μm以上のSi層厚のSOI基板では、1000℃付近の熱処理により変化し、p型SOIの場合は埋め込み酸化膜(BOX)界面にキャリアの反転層が、n型SOIの場合は蓄積層が形成される、この現象は界面準位の熱処理による変化を仮定すれば説明できる。一方、1μm以下の極薄SOI基板では、700-800℃での熱処理によりn型ドナーが発生する.このドナーレベルは0.03eV以下で、酸素析出による"new donor"によると推定される。 (2)BOX界面でのキャリアの再結合速度の評価:BOX界面でのキャリアの再結合速度をμ-PCD法により測定した。再結合速度は500-1800cm/sで、これは通常のSi/熱酸化膜界面の値に比べて100倍程度大きい。 2.SOI基板中不純物拡散のモデリング (1)拡散分布の極薄SOI基板依存性:3種類の極薄SOI基板(SIMOX, UNIBOND, ELTRAN)およびバルクSi中のB拡散分布を比較した、拡散深さはバルク中に比べてSOI基板中の方が浅く、また3種類のSOI基板の中ではSIMOX基板中が最も浅かった。これはBOX界面の結晶性の違いを反映していると考えられ、SIMOX基板のBOX界面での点欠陥の再結合速度が他に比べて大きいと仮定することにより、拡散分布をシミュレートできる。 (2)市販プロセスシミュレータの精度評価と拡散モデリング:B, Pのプリデポジション拡散を行い、拡散パラメータを抽出した、これを用いてドライブイン拡散の対拡散モデルを用いたシミュレーションを行い、実測分布と比較した。その結果、実測分布の方が深くなったが、これはドライブイン拡散を加速する何らかの因子が存在し、従来の拡散モデルの見直しが必要であることを示す。
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