研究課題
基盤研究(C)
本研究では自励発振ミキサ機能を持つ能動アンテナアレーによる受信指向性の制御について検討した。能動アンテナはRF信号を受信するパッチアンテナと、RF信号をIF信号に変換する自励発振ミキサとして動作するループ帰還形発振器とで構成されている。このミキサは局部発振(LO)信号に関するポートを2つ持つ。1つは局部発振信号を出力するためのポートである。もう1つはミキサ内で発振した局部発振信号は出力されないが、局部発振を注入同期するための信号を入力するためのポートである。よって、ミキサのLO出力ポートを次のミキサの入力ポートに結合させれば、サーキュレータ等の非相反回路を用いることなく、自励発振ミキサを単方向的に結合できる。単方向結合系では個々の自励発振ミキサの局部固有発振周波数を1番目の自励発振ミキサの局部発振周波数から変化させるとその周波数差に応じた位相差が生じる。個々のアンテナで受信したRF信号には到来方向に対応した位相差があるので、個々のミキサからのIF信号を合成すると指向性を生じる。RF信号と位相差のある局部発振信号とを混合すると生じたIF信号にも局部発振信号の位相差が含まれることになる。局部発振信号の位相差を制御すると受信指向性を変えることができる。局部発振信号の位相差変化量はπであるが、IFがRFと局部発振周波数の2倍との差なので、IF信号の位相差変化量は倍の2πとなる。実際に2要素及び3要素アレーを用いて受信指向性を制御する実験を行った。局部発振信号に等間隔の位相差を与えることで、主ビームを形成し、その方向を走査した。その結果、IF出力信号に隣の能動アンテナとの間において2πに近い位相差変化を得た。加えて、自励発振ミキサの局部発振における帰還率を最適化することで、RF-IF変換効率が向上することを示した。
すべて 2005 2002
すべて 雑誌論文 (4件)
IEICE Transactions of Electronics E88-C巻
ページ: 1375-1381
IEICE Transactions on Electronics vol.E88-C, No.7
32nd European Microwave Conf. Proc. 2巻
ページ: 873-876
32nd European Microwave Conference Proceedings vol.2