有機Electroluminescence(EL)デバイスは、自己発光型素子であり近年では、次世代ディスプレイとして期待されている。そこで、Nanoimprint Lithothography(NIL)を用いるマイクロ有機ELデバイスの作製プロセスを提案した。NIL技術はレジストの物理変化によるパターン形成であるため発光層へのダメージも少なく高効率の可能性があり、低価格な装置でパターンの一括転写ができ低コスト・高スループットである。また、モールド(型)に高硬度、耐磨耗性で耐久性が高いダイヤモンドを用いることで繰り返し使用ができることや、熱膨張による変形がないため高精度なパターン転写が可能であるなどの利点があると考えられる。本研究で開発した電子ビームリソグラフィによる有機酸金属塩をマスク材料に用いたダイヤモンドの微細パターン形成プロセスにより、30μm角のドットパターンのダイヤモンドモールド(モールド高さ2μm)を作製した。このモールドを用いて熱サイクルNILを行うために転写材料poly-methyl methacylate(PMMA)膜(膜厚0.6μm)の最適インプリント条件および、正孔輸送層であるpoly(9-vinylcarbazole)(PVK)膜に熱サイクルNILが与える影響について検討した。その結果、インプリント圧力0.8MPa、基板加熱温度180℃、引き離し温度70℃で高精度にインプリントすることができ、この条件下で、PVK膜の熱サイクルNILによる変形は見られず、PMMA膜のみパターンニングすることができた。また、基板加熱温度による正孔輸送層へのダメージはなかった。得られた最適インプリント条件を用いて30μm角のドットパターンのマイクロ有機ELデバイスの作製を行い、発光させることができた。
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