研究概要 |
本研究代表者がサケ追跡のために開発した音源定位装置では,環境雑音のため,AD変換を行う前までのアナログ回路の処理における受信信号のゲインコントロールに問題があった.発信器信号の受信レベルをコントロールする部分を含め,処理の大半をディジタル信号処理に置き換えることにより,雑音対策を強固にする. 音源定位装置を「信号検出部」と「方位推定部」に分ける.「信号検出部」は,これまで使用してきた低いサンプリング周波数(約20kHz)のAD変換器を用い,4つのセンサが受信する信号の信号継続時間をカバーするタイムスロットを粗く検出すると同時に,受信レベルのコントロールおよび,信号検出時刻に基づく距離推定を行なう.「方位推定部」は,1MHzサンプリングのAD変換器を用い,各センサにおける受信信号の復調処理,詳細なタイミングの計測,方位推定を行なう.当初「方位推定部」は,ディジタルシグナルプロセッサ上に実装する予定であったが,予算と開発時間の節約,処理の融通性,フィールド実験のための可搬性の確保のために,ノートパソコン+PCI拡張装置+メモリ内蔵AD変換ボードの組み合わせで,実装することとした. このような処理の分割を施したため,「信号検出部」はリアルタイム処理が可能になり,信号検出時刻を距離推定に利用することにより距離測定の精度向上が見込まれる.「方位推定部」では,これまでより雑音除去の効果を高めることができ,高精度な方位推定が可能になる. 平成14年度はサケ追跡装置の音源定位装置以外の部分を完成させた.平成15年度は音源定位装置をほぼ完成させた.
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