研究概要 |
本年度は,1)中山送信局・昭和受信局間でのトーン送受信実験,及び2)中山リモート局から昭和マスター局へのデータ伝送実験を開始し,また3)次年度の実験,すなわち中山・ドーム両リモート局から昭和マスター局への同時データ伝送実験の準備,及び4)次々年度に行う申請者ら独自の新流星バースト通信システムの開発・製作を行った. 1)送信電波の他観測機器への干渉を最小限にするために,当初予定していた300Wではなく,115Wの送信電力とした以外,実験は順調に行われた.1年間にわたって大量の通信路データが得られ,種々の考察が開始されている.これまでに明らかになった主な点は,(1)中緯度地域で見られる通信路デューテイ比の時間変動はほとんど見られない,(2)流星活動の季節変動もほとんど見られない,(3)UTC15時から23時ころ,流星伝播によるものではない強力な伝播が頻繁に現れる,(4)この伝播はオーロラ活動に関係があるものと思われるが,ドップラーシフトが大きい場合が多く,データ伝送にはデューティ比の増大から予測されるほどは役立っていない,などである. 2)トーン実験受信機への干渉を避けるため,マスター局のプローブ送信を10分間に5分間のみとした以外は,実験は順調に行われた.1年間にわたって大量のデータが得られ,これまでに明らかになった主な点は,(1)トーン実験によるデューティ比の大小と伝送成功データパケット数には,強い相関があるとは言えない,(2)伝送成功データパケット数の日変動は大きくなく,毎日約60%のパケットが2時間以内に伝送されている,(3)オーバヘッドなどを除いた純スループットは0.63bpsである,などである. 3)順調に実験を開始した. 4)設計・製作を終わり,テストを開始した.
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