研究概要 |
1.異なるサンプリング周波数を持つフィルタの縦続接続法 加減算処理により,いくつかの周波数成分からなる信号の周波数を推定するため,従来はオーバーサンプリング法を使用して,フィルタを縦続接続していた.これに対し,フィルタ間の接続に1次ホールド処理を入れることにより,周波数推定のための演算量を約1/10に減少することができた. 2.同期加減算処理による周波数推定の高速化 従来は,同期化減算処理の累積値の周期性からサンプリングレートを制御していたため,推定精度が高くなると推定時間が長くなる欠点があった.本研究では,並列同期加減算処理により,両累積値の振幅値の比較結果によりサンプリングレートを制御する方法を提案し,推定時間を短縮し追従特性を改善した. 3.MR-DFT,くし形フーリエ変換アルゴリズムの雑音に対するロバスト性改善 MR-DFTに関しては,位相を変えた2つの処理を平均化することと,周波数シフトにより低周波成分のサンプル数を増加させることで,通常のDFTと同程度の雑音に対するロバスト性を実現した.一方,くし形フーリエ変換に対しては,発想を変えて共振器に基づいたResonator Fourier Transform(RFT)を開発し,減算処理による雑音に強いアルゴリズムとした. 4.適応処理による採譜システムの簡単化 従来,1オクターブに相当する12個以上の同期加減算処理およびくし形フィルタを利用していた採譜システムに適応処理を導入することで,原理的に多重音の数だけの処理部でよい採譜システムを開発した.
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