聴覚障害者がモバイル環境下において、テレビ電話により手話を用いてコミュニケーションを行うことを想定して、超低ビットレート手話動画像伝送に関する研究を行った。本年度は、その基礎的な研究として、以下の(1)-(3)を実施した。 (1)手話調動の解析:各手話単語の手話調動を細かな調動要素に分解して解析し、各手話単語認識に必要な調動要素を調査した。また、単語認識に必要となる調動要素の一般的傾向についても考察を行った。その結果、これまでの基礎実験により、動作が一瞬停止した点の他に動作方向が急変した点も重要であることが分かった。 (2)手話単語認識要素の解析:(1)より求められた調動要素において、その手指のどの部分が手話認識に必要な要素であるかを、手話画像からの単語認識により考察した。14単語について、認識に必要な要素を明らかにし、立っている指とその方向、および、手の位置と動きが重要であることが分かった。この結果を手話単語認識方法として発表した。 (3)手話動画像圧縮アルゴリズムの考察:これまでの研究により、手話単語認識において各単語認識に必要なフレームは数個であることが分かっており、これを意味的特徴点と呼んでいる。意味的特徴点を標準的な圧縮方法であるMPEG1およびMPEG2に組み込むための方法を考察した。まず、フレームレートの低い画像をそのまま入力した場合について調査し、意味的特徴点だけを入力すれば1/2程度に圧縮可能であることが分かった。現在、再生に標準的な方法を用いたままで、さらに庄縮するための方法について考察を行っている。
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