聴覚障害者がモバイル環境下において、テレビ電話により手話を用いてコミュニケーションを行うことを想定して、超低ビットレート手話動画像伝送に関する研究を行った。本年度は、その基礎的研究を実用的な研究とするために、以下の(1)-(3)を実施した。 (1)コンピュータ間での手話動画像の伝送:今年度新規に購入したノートコンピュータ2台にPCカメラを装備して画像の伝送実験を行った。データ圧縮などを行わないストリームとして伝送するソフトウェアを開発した。さらに本研究で開発している手話動画像圧縮アルゴリズムを組み込んだソフトウェアの開発に着手したが、WindowsのOSにおけるAPIとの接続に問題を残した。 (2)手話動画像に適した圧縮方法の検討:提案している手話動画像の圧縮においては、手指、手首の動きを追跡することが必要になっている。この処理は通常の動画像圧縮方式における動き補償と同様な処理になるため、これを同時に行う圧縮方法を考案した。さらに、手話動画像の圧縮と通常の動画像圧縮が分離して独立に処理される場合を想定して、冗長な処理を行わないために、動き情報を受け渡すための仕様についても検討を行った。 (3)モバイル分散環境を想定したエージェントによる伝送:モバイル環境では通信が不安定になったり、通信不能になる場合が想定される。このような場合においても通信を継続させる、あるいは、復旧させるために、自律分散処理が可能となるモバイルエージェントを導入することが必要となる。このため、エージェントとそのマイグレーションに関する研究を行った。
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