研究概要 |
平成14年度は申請した研究計画に基づいて以下の研究を行った.なお,検討を実施した周波数帯域は,超高速電力線通信の使用帯域を考慮して,10kHzから100MHzである. 1.電力線の伝送特性モデル オープンショート法を用いて屋内配線に使用しているVVFケーブルの線路定数を測定し,従来から使用されている理論式と比較を行った.その結果,誘電損失として測定値を使用しないと10MHz以上の周波数では伝搬特性を十分に模擬できないことがわかった.(文献1) 2.電力線からの電磁波放射モデル 配電線をおよび電子機器,通信機器を4ポートの回路でモデル化して電力線通信のモデムから見た不平衡減衰量を求める方法を検討した(文献3).また,電源ポートに現れる電力線通信信号が無線受信へ与える影響を評価するため擬似通信回路網を用いて評価する方法を検討した(文献5) 3.電力線上の電磁環境モデル 電力線の入力インピーダンスを測定して,入力インピーダンスを表す等価回路を求めた.その結果,1MHz以上では1桁程度の変化はあるものの,1MHz以下よりもインピーダンス絶対値の変動は小さいことがわかった.また,この等価回路を用いて電力線の平衡度を求めた結果,20dB程度の不平衡減衰量は期待できることがわかった.(文献1)通信装置を4ポート回路網でモデル化することにより電力線通信信号が通信装置の通信ポートに現れるレベルを求め,別に求めておいた有線通信信号の通信品質が劣化しはじめるDN比より,電力線通信が有線通信に与える影響を評価する方法を検討した.(文献4) 4.電力線通信のイミュニティ 短波帯を使用した電力線通信システムに人工的に妨害波を印加して,電力線通信のノイズに対する耐力を評価した.その結果,狭帯域ノイズには強いが広帯域ノイズには弱いことがわかった.(文献1) 5.家電機器のモデル化 家電機器の入力インピーダンスを測定して,この結果より家電機器をπ型の等価回路で表し,その値をLCRの並列及び直列結合で表した.また,通信装置を電源側2ポート,通信線側2ポートの4ポート回路で表し,このF行列の16個のパラメータを測定する方法を検討した(文献2).
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