研究概要 |
2年間の研究により、以下のような成果をあげることができた。なお,検討を実施した周波数帯域は,超高速電力線通信の使用帯域を考慮して,10kHzから100MHzである. 1.電力線の伝送特性モデル 屋内配線に使用しているVVFケーブルの絶縁体の電気特性が高速電力線通信で使用する周波数帯域では周波数依存性を持つことを明らかにして,伝送特性モデルの高精度化を図った. 2.電力線からの電磁波放射モデル 配電線および電子機器,通信機器を4ポートの回路でモデル化して配電線と大地間の平衡度,入力インピーダンスを求める方法を明らかにした.また,この方法を用いて配電線から放射される電磁界の解析方法を検討した. 3.電力線上の電磁環境モデル 電力線に接続される電子機器が発生する電磁ノイズの実態評価を行い電力線通信で使用する1MHz以上では比較的妨害波レベルは小さいことがわかった.また,配電線の入力インピーダンス,平衡度の実態を評価し,1MHz以上では変動は比較的小さく,また20dB程度の不平衡減衰量は期待できることがわかった.また,配電線上の伝送特性は長さよりも機器の位置の影響がおおきいことがわかった.最後に,電力線通信の伝導結合,誘導結合による有線通信への影響について検討を行い,今回評価を行ったシステムについては,通常の条件であれば,干渉が生じる可能性は少ないが,悪い条件が重なれば干渉が生じる可能性があることがわかった. 4.電力線通信のイミュニティ 短波帯を使用した電力線通信システムに人工的に妨害波を印加して,電力線通信のノイズに対する耐力を評価した.その結果,狭帯域ノイズには強いが広帯域ノイズには弱いことを示した. 5.家電機器のモデル化 動作状態で家電機器の入力インピーダンスを測定する方法して,擬似電源回路網を用いる方法を検討した.評価を行った結果,マイコンで制御されている電子機器についてはEMI対策用の部品の効果により動作状態でも,動作していない状態でも値に大きな差は無く,白熱電球等構造が単純な装置は動作状態と非動作状態で入力インピーダンスに変化があることがわかった.
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