ALOS衛星搭載合成開口レーダのポーラリメトリック較正

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14550366
• 研究機関: 東京都立科学技術大学
• 研究代表者: 藤田 正晴 東京都立科学技術大学, 工学部, 教授 (50326021)
• キーワード: 合成開口レーダ / ポーラリメトリック較正 / ヴァンアッタアレー / ALOS / PALSAR / レトロディレクティブ特性

研究概要

送受信の偏波が水平、および垂直の4つの組み合わせで観測を行なうポーラリメトリック合成開口レーダ(SAR)を用いることにより、各分解能セルにおけるマイクロ波の散乱特性を完全な形で観測することが出来る。しかし、SARアンテナの偏波伝送特性には歪があるので、その補正が必要であり、これをポーラリメトリック較正という。ポーラリメトリック較正を行なうため、偏波特性が既知である基準ターゲットを使用する。従来、基準ターゲットとしてコーナリフレクタが主に使用されてきたが、ポーラリメトリック較正に適用するためにはSARの特性に仮定を設ける必要があった。しかし、コーナリフレクタで様々な偏波散乱特性を実現することは容易ではなく、また、そのビーム幅は一般に狭い。従って、ターゲットのポインティングには正確性が要求される。これらの問題点を解決するため、本研究においては、レトロディレクティブ特性を有するヴァンアッタアレーに着目し、基礎的な実験研究を推進するとともに、別途開発したALOS衛星搭載PALSARの較正に用いるためのシステムについて、その特性測定を実施した。
また、衛星実験に備え、同様の機能をもつ航空機搭載型合成開口レーダを用いた予備的な実験を実施した。この実験における基準反射器として、48素子からなるヴァンアッタアレーを試作した。この反射器は偏波変換を行なうとともに、波源を追尾する機能を有しており、また直接散乱波を抑圧する工夫がなされている。
この他、衛星実験に備えて、平板型の反射器についての実験的な検討、ポーラリメトリック較正アルゴリズムについての理論的な検討を行なった。

研究成果

• [文献書誌] M.Fujita: "Development of a retrodirective PARC for ALOS/PALSAR caliration"IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing. vol.41, no.10. 2177-2186 (2003)
• [文献書誌] M.Fujita, C.Murakami: "Suppression of scattered fields in a Van Atta reflector response"IEICE Transactions on Communications. vol.E87-B., no.4. 1045-1047 (2004)
• [文献書誌] M.Fujita, S.Nakamura, C.Murakami: "Reflection characteristics of a retrodirective PARC"Proc. 2003 Int.Geosci. Remote Sensing Symposium. 7. 4506-4508 (2003)
• [文献書誌] M.Fujita, C.Murakami: "Experimental study of a polarization-rotating Van Atta array with reduced co-polarized radar cross-section"Proc. 2003 Int.Geosci. Remote Sensing Symposium. 7. 4503-4505 (2003)
• [文献書誌] M.Fujita, S.Nakamura: "Polarimetric Van Atta reflector for airborne SAR calibration"Proc. 2004 URSI International Symposium on Electromagnetic Theory. (発表予定). (2004)
• [文献書誌] 中村創太, 藤田正晴: "3面コーナーリフレクタと90度偏波回転反射器を用いたポーラリメトリックレーダー較正"電子情報通信学会2003年ソサイエティ大会講演論文集. 1. B-1-B-14 (2003)