近年のセンシング技術、ビジョン技術の進展により、3Dビデオシステムの開発が盛んである。3Dビデオとは被写体の映像のみならず3次元形状も記録するシステムであり、任意の視点から見た映像をCG技術により再生することが可能となる。しかし、時系列の点群(座標)データはデータ量が多いため、有効な圧縮法が必要である。そこで、前年度開発した点群統合化手法を用いて以下のデータ圧縮手法を開発し、その効果を実験により確認した。 (1)提案手法 提案したデータ圧縮処理は以下のように構成されている。 (1)点群の座標からポリゴンを作成→(2)空間的圧縮(ポリゴンの簡略化)→(3)頂点の統合処理→(4)時間的圧縮(主値解析) ここで、(1)ポリゴン作成はマーチングキューブ法を用いる、(2)空間的圧縮では形状の原型を損なわないようにポリゴン数を減少させるprogressive mesh法を用いる、(3)各時点での点の対応を求め、点の軌跡を求める。昨年度開発したエネルギー最小化による統合化処理を用いる、(4)点の軌跡をベクトルと見なし、主値解析する。軌跡ベクトルを少数の固有ベクトルで表現することで、データ圧縮を行う。 (2)実験 3Dビデオシステムで得られたデータ(89フレーム)を用いてデータ圧縮実験を行った。0.1%の許容誤差で、1/380の圧縮率が得られた。このうち、空間的圧縮で1/26、時間的圧縮で1/15の圧縮が実現されている。
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