研究課題
基盤研究(C)
近年のセンシング技術、ビジョン技術の進展により、3Dビデオシステムの開発が盛んである。3Dビデオとは被写体の映像のみならず3次元形状も記録するシステムであり、任意の視点から見た映像をCG技術により再生することが可能となる。しかし、時系列の点群(座標)データはデータ量が多いため、効果的なデータ圧縮が必要である。そこで本研究では、3次元アニメーションデータの効率的な圧縮方法を検討し、以下の成果を得た。1)時空間的データ圧縮法の提案3Dアニメーションデータ圧縮処理を提案し、実験により有効性を確認した。処理は、空間的圧縮(ポリゴンの簡略化)および時間的圧縮(主値解析)からなる。ここで、空間的圧縮では形状の原型を損なわないようにポリゴン数を減少させるprogressive mesh法を用いる。また、頂点点の軌跡をベクトルと見なし、主値解析する。軌跡ベクトルを少数の固有ベクトルで表現することで、データ圧縮を行う。データの粒度などにもよるが、空間的圧縮で10倍、時間的圧縮でさらに10倍程度のデータ圧縮が可能であることを実験的に示した。2)点群統合化手法の提案上記圧縮手法を3Dビデオに適用するためには、各フレームにおいて獲得される独立なポリゴンデータを単一の変形ポリゴンモデルに統合する必要がある。そこで本研究では、特定の運動モデルを仮定せずに、柔軟物体の点群時系列を効果的に統合する手法を提案した。具体的には、各時間において、形状の変化及び計測計上との差分が小さくなるように点群の軌跡を(変形エネルギー)+(距離エネルギー)の最小化により求める。実データにより実験的に検証したところ、有効性が確認された。さらに、統合処理が不成功であった場合の救済処理も検討した。また、GPUを用いた効果的なレンダリング法も開発した。3)統合化処理の安定化点群統合化処理における最小化は、質点ばね系シミュレーションといして実装されている。従来、質点ばね系シミュレーションでは、安定に処理を行うために、時間幅や減衰係数などのパラメータを慎重に調整する必要があった。そこで、シミュレーション技法の安定性を理論的に分析し、安定条件を導出した。これにより、統合化処理を効率的かつ安定に実現することが可能となった。
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