回線や端末の部分的障害やとっさの要求に対応可能なディジタル多重通信装置の研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14550381
• 研究機関: 日本大学
• 研究代表者: 木田 拓郎 日本大学, 工学部, 教授 (90016535)
• キーワード: ディジタル信号処理 / FIRフィルタバンク / トランスマルチプレクサ / 信号集合の設定 / 近似誤差の最小化 / 線形な計算 / C++数値計算プログラム / シミュレーション

研究概要

本研究の目的は、人的災害や自然災害あるいは事故や環境変化などによる自然環境や情報環境のとっさの変化を離散通信系と離散信号および両者の相互関係の突然の変化としてモデル化し、これらの変化に伴う離散通信系や離散信号の周波数特性や標本点間隔の突然の変化に対して速やかに対応できるディジタル多重通信装置を開発することである。この目的を実現する第一段階として、初年度である平成14年度では、(1)フーリエスペクトルの重み付き2乗積分が有界な離散信号が複数個のFIRディジタルフィルタを通過した出力の標本値を用いて原信号を近似する問題に関して、十分自然な仮定から導かれるある信号集合を定義し、当該信号集合に属す信号全体にわたる近似誤差の多くの尺度の上限を同時に最小とするような最適内挿関数を線形な計算で導く統一的な数値計算法を確立した。
(2)上に述べた信号近似理論を応用して、送信側(または受信側)の各チャンネルの周波数特性が当初に設定した特性から相当程度ずれてしまったような場合に受信側(または送信側)でフィルタをそれに合わせて調整して対象とする信号に適合した通信を可能とする柔軟なディジタル多重通信装置の理論を確立した。
(3)これらの装置に用いられるFIR型ディジタルフィルタのタップ係数と伝送特性を求めるC++言語によるプログラムを開発した。それらを総合してシミュレーションを行うソフトウェアをPCとワークステーション上に実現し、パラメータを変化させても近似性能がよいことを確認した。
(4)成果をまとめて論文として発表し、東京工業大学総合理工学研究科小林隆夫教授等の指導を受け研究打ち合わせをするため国内出張を一回行った。

研究成果

• [文献書誌] Yuichi Kida, Takuro Kida: "Theory of the Optimum Interpolation Approximation of Multidimensional Signals"Proceedings of GSPX and International Sigani Processing Conference. (掲載決定). (2003)
• [文献書誌] Yuichi Kida, Takuro Kida: "Generalized Optimum Approximation of Filter Banks in t/f Domains and its Application to the Design of Wireless Transmultinlexer"Proceedings of SPIE international conference on Electronic. (掲載決定). (2003)
• [文献書誌] Takuro Kida: "Theory of Generalized Interpolation Approximation of Multi-Dimensional Signals(3)"Journal of Signal Processing. 6巻3号. 137-141 (2002)
• [文献書誌] Takuro Kida: "The Optimum Discrete Approximation of Band-Limited Signals without Necessity of Combining the Set of the Corresponding Approximation Errors"IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Comnuter Sciences. E85-A巻3号. 610-639 (2002)
• [文献書誌] Takuro Kida: "Theory of Generalized Interpolation Approximation of Multi-Dimensional Signals(2)"Journal of Signal Processing. 6巻2号. 71-77 (2002)
• [文献書誌] Takuro Kida: "Theory of Generalized Interpolation Approximation of Multi-Dimensional Signals(1)"Journal of Signal Processing. 6巻1号. 3-8 (2002)