研究概要 |
本年度は,非対称トラヒックを効率的に収容できる波長多重オプティカルリングネットワークの構成法を研究した. 考案した方法は,ノードiからノードmへ現用パスを最短方向に収容,同一ファイバ内でこの反対周りに現用パスと同一波長の予備パスを収容し,プロテクション技術は片方向単位に切替ができるOUPSR (Optical Unidirec-tional Path Switched Ring)とした.本方式は,1芯ファイバしか用いないにもかかわらず,単一のリンク故障に対して救済が可能となる.この方式のキーとなる技術はオプティカル多重分岐装置(OADM)であり,この構成法を考案した.OADM基本機能は1本のファイバに右方向と左方向の波長を同時に多重分離できる機能と,波長毎に挿入,落ち,通過を選択できる機能であり,アレイ導波路回折格子と2×2熱光学効果スイッチを組み合わせることにより実現できる.リングのノード番号を1,2,…,nとし,1芯のファイバ内に1つの波長λ_<ij>をiからjに時計回りと反時計回りに設定,一方を現用パス,他方を予備パスとする.この方法では1つの波長がリンク内を一周しており,無駄な帯域が発生せず,非対称トラヒックに対して収容効率が良いことがわかった.また1芯ファイバに最大ω_<max>波長多重できるとし,ファイバ芯線数を求め,定量的なコスト評価を行った.本方式においては,接続ポイント数の低減及び各接続ポイントの低反射性能を従来以上に維持向上させた上での低価格化が重要であり,結晶化ガラスフェルールを用いた光コネクタ端面パラメータの設計及び信頼性評価に関する本研究成果により,各接続点55dB以上の低反射で1接続ポイントの価格を従来の1/3に低減できる可能性が示された.以上の研究結果より,提案した方法は既存の方式と比較し,非対称トラヒックに対して経済的な方式であることがわかった.
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