研究概要 |
研究初年度の平成14年度では,スネーク導波路の曲がり部分からの反射波抑制を研究目標の一つとして周波数11.8GHz〜12.2GHzの範囲内でのインピーダンスマッチングを実験的に試みた。WRJ-10導波管のH面曲がり部をNCフライス盤により試作し,小ネジによるマッチングを行った結果,標記周波数帯でその定在波比は整合前の1.05程度から,1.02程度に改善出来た。実験では,11本の直線導波管と,調整したこれらの曲がり導波路を結合してアンテナ給電系を構成する計画であるが,曲がり部分ではその管内波長が直線導波管のそれとは若干ずれる結果が出ている。従って,導波路の表面に設けるスロットの同相給電のためにはこの点を考慮したアンテナの全体寸法決定が必要となる。試作を予定しているアンテナの外形寸法は40cmx40cm程度である。現在,YH75材による直線導波路と曲がり導波路の設計中であり,スロット無しでの導波路の通過損の測定と曲がり部の残留定在波の再調整を行い,スロットのパラメータを決定する予定である。放射用スロットは,導波管表面に約半波長間隔で設けるが,電磁波の放射と同時に導波管内にも反射を生じるため,これらスロットからの反射波もマッチングの対象とする必要がある。さらに,スロットからの放射レベルの一様化を考慮すると,スロットの寸法も同一とならないため,この点についても検討の必要がある。これらの問題に対応するには試行錯誤的実験も含め,多くの開口部電界計測が必要となることが予想されるため,開口面電界評価用のX-Yスキャナーを製作した。また,そのソフトウェアも改良を重ねている。
|