研究概要 |
インテリジェント制御システムの実用性を高めるための研究として,インターネットを利用した制御系の構成を目指しているが,本年度は最初の段階として,基本的な部分の検討を行った.まず,パーソナルコンピュータを利用してリアルタイム制御系の実装するためのオペレーティングシステムを検討した.これには,既製の専用ソフトウェアを利用することも考えられるが,本研究ではインターネット接続によるデータ通信を想定しているため,リアルタイム制御以外の部分に対するプログラムを作成して実装する際の柔軟性などを考慮して,オープンソースのLinuxに応答性を改善するための修正を加えたものを採用することとした.この場合,厳密なリアルタイム性は保証されないことになるが,本研究の目的は,そのような場合をも想定した実用性を目指すものである.この点を検証するために,予備実験として単独のコンピュータによる倒立振子の安定化制御を試みた.コントローラとして単純な線形時不変の補償要素を用い,そのパラメータであるフィードバックゲインは数式モデルに基づく設計計算により求めたが,リアルタイム性に関して大きな支障はないことが確認できた.ただし,突発的に応答時間が長くなった場合の対応など,さまざまな動作状況に応じて良好な特性を維持するためには,制御アルゴリズムや設計手法を工夫するとともに,オンラインでフィードバックゲインを調整することの必要性がうかがえた.今後は,より複雑な制御アルゴリズムを実装したり,ネットワーク経由で複数のコンピュータを連携させる予定であるが,そのような場合でもコンピュータの処理時間については余裕があることを確認した.
|