研究概要 |
インテリジェント制御システムの実用性を高めるための研究として,インターネットを利用した制御系の構成を目指しているが,昨年度と同様に倒立振子の安定化制御を例として検討を進めた.まず,汎用のOSを用いるために厳密なリアルタイム性が保証されない問題については,制御プログラムと並行して無関係な別のプログラムを実行することにより,実際に突発的な処理の遅延が生じることを確認した.実験例では,遅延時間が制御のサンプリング周期の数倍に及ぶことがあり,このような場合は制御性能への影響が避けられないことになるが,制御プログラム内で実際の遅延時間を検知することにより,ある程度以内の遅延ならば制御動作をそのまま継続し,長時間の遅延に対しては異常事態と判断して制御動作を停止するようにした.今後は,遅延時間に応じてサンプリング周期を自動的に調整することも検討中である.つぎに,上記の制御プログラムの実行中に,インターネットを介して別のコンピュータから接続を受け付け,ネットワーク通信が行えるようにした.この機能を利用する例として,別のコンピュータからの指示により,オンラインで制御プログラムのフィードバックゲインを調整することを試みた.コンピュータ問の通信に関しては,データの到達性や遅延時間が保証されないものと想定しているが,ネットワーク通信に遅延があっても制御プログラムの動作には影響を及ぼさないようにプログラムを作成し,実際に支障がないことを確認した.現時点では,制御プログラムを実行しているコンピュータに対して,他のコンピュータからの接続は1台しか想定していないが,今後は同時に複数のコンピュータからの接続を受け付けるようにして,より複雑な動作が行えるように改良する予定である.
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