研究概要 |
コンパクトで実時間処理できるシステムで画像認識ができれば,様々な応用が期待できる。もし,セルラーニューラルネットワーク(CNN)を画像認識に使えば,コンパクトで実時間処理できる画像認識システムを作ることが出来る可能性がある。この研究の目的はCNNを用いて画像認識する基礎的な手法の開発である。 CNNは二つの特徴を持つ,すなわち,アナログ回路の並列構成による高速データ処理能力とセル間の局所的な接続によるIC化実現性である。しかし,従来のコンピュータであればプログラミングに相当するセル間の接続重みをいかに設計するかが大変難しいという欠点を持っている。簡単な画像処理,例えばエッジ検出,ホールフィリングのような処理なら,ファジー推論を用いた一般的な接続重み設計法を筆者は既に開発している。しかし,画像認識のような複雑な処理には,新しい接続重み設計法を開発する必要がある。この設計の困難性を克服するために,本研究ではモルフォロジー演算をCNN上で行う方法を採った。モルフォロジー演算は形状解析の強力な道具である。 本研究の第1の成果は,Hit-or-missというモルフォロジー演算を離散時間CNN (DTCNN)上で実行し文字認識ができることを示したことである。 画像認識のためには画像の学習が欠かせない機能であろう。DTCNN上でのモルフォロジー演算より等価的なニューラルネットワークの構成を導き,等価的なニューラルネットワークで画像の学習を行える手法を開発した。この学習方法により画像認識に必要なモルフォロジー演算の構造要素を得ることができた。学習により得た構造要素を用いて,文字認識がDTCNN上でできることを示した。このように画像認識を学習手法によりDTCNN上で実行できる方法を開発したことが本研究の第2の成果である。この方法は,縮小拡大や回転された画像も認識できる特徴を持っている。
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