研究概要 |
本研究は,(I)圧電センサを用いた変位計測と(II)圧電センサを圧電アクチュエータと一体化したときの動作特性の実験と解析に分けられる.14年度は主としてIの圧電センサを用いた変位計測方についての研究を行い15年度は,システムの構築と実験を行った. 最初にセラミック製および高分子圧電フィルム製の圧電素子のインピーダンスや容量などの電気的特性,弾性定数,共振特性などの機械的特性および圧電定数などの音響的な特性測定を行なった.次に圧電素子をガラスや金属などの基盤に貼り付けて音波の送受波実験をおこなった.この実験は最初は数MHz帯の周波数の音波を用いて水中で行なった.これは筆者らのこれまでの実験設備を使用できるためと,この周波数帯で空中において超音波を送受することが容易でなかったためある.この段階で位相検波の方法と音波の位相情報の処理について検討を行い直交検波方式と光学分野で用いられる位相シフト法を併用することを考案した.続いて,同様の実験を空中で行った.空中での超音波送受は現在40kHz,200kHz,400kHzおよび1MHzの空中超音波送受波器を使用して行った.この結果,空中では高周波になるほど送受効率が悪くなりS/Nが著しく低下することがわかりこれが変位計測に影響することが明らかとなった.本研究ではロックインアンプを導入することによりこれらの影響を低減できることがわかり測定精度の大幅な向上が図られた.また,この研究課題で購入したレーザドップラ装置を用いて変位をモニタしながら計測ができるシステムの構築を行った.現在までのところ40KHzの空中超音波を用いて40nmの変位計測が可能なことが判明しており,光学系に比べ安価でかつ同程度の精度のシステムが完成している.今後,MHz帯の送受波器を導入し,一層の高分解能かを測りたい
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