自由に転動する均一媒質の金属球の影響を受けて薄肉化する球殻内弾性層の非線形特性を有限要素法によって推定するプログラムを開発し、荷重に対する沈み変形を明らかにした。また、それがヘルツの公式を用いて計算される結果とよく似ることを示し、計算式の妥当性を実証した。 弾性体上の転がり摩擦力に拘束されて金属球が落ちない角度(不感帯)を静力学によって明らかにした。さらに、球殻内金属球の運動方程式を解き固有振動数を算出し、計算される周期が実測値に極めて近いことを確認し、導出した運動方程式の有効性を実証した。実際に製作した球殻内半径25mm、金属球半径241mmのセンサヘッドに関し、計算値は75.1ms、実測値は80msであった。この考察では、金属球を大きく、かつ球殻内半径を小さくすることが不感帯を低減し振動数を高める対策として効果的であることを示した。 3つの高周波発振型近接センサを互いに直交させて配置するセンサヘッドを製作し、センサからの信号をPCに取りこみ、沈み箇所と沈み量を算出した。また、購入したスイベルステージを使って球殻傾きを定める角度αとβをともに30度ずつ変化させ、計算と実測の値を比較した。さらに、近接センサからの信号の入力と増幅、及び金属球中心を求める計算を含める処理をワンボードで可能にする回路の設計を検討した。とくに、高周波発振型センサを相互に干渉させない駆動方式として、発信周波数の割り当てを変更することで問題を解決することに取り組んだ。この他、携帯型合成加速度センサとして応用する場合の利便性の条件についてカールスルーエ大学と共同で検討した。
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