研究概要 |
球殻内側に同心状に密着配置する定厚弾性層としてシリコンRTVゴムを製作し,これが球殻内部空間を自由に転動する均一媒質金属球の影響を受けて変形する様子を,弾性層のヤング率とポアソン比を使う有限要素法によって視覚的に明らかにした.また,ばねを用いるゴムモデルを設定し,弾性層の半径方向と最大沈み方向に平行な方向に着目して弾性層の沈み量と作用圧の関係を表す式を導いた.さらに,ゴム層の厚さを反映させる関係式を導き,実測データと比較して式の妥当性を示した. 弾性層の圧力と沈み量に関する実測と計算から,不感帯を狭めて計測精度を向上させるには金属球の質量の影響はなく,金属球の外形を大きくし,あるいは弾性層内半径を小さくして金属球と弾性層の間隙を小さくするのが妥当であることを確認した.とくに,小さな不感帯の測定にはパルスモータ駆動によって0.006度の分解能で傾斜角を指定できるスイベルステージを使用し,内半径18.5mm,厚さ5mmの凹球面ゴムと半径17.5mm金属球の組合せにおいて約6.1度の不感帯であることを計測し,また,固有振動数は観測できず計測に影響しないことを確認した. 弾性ゴムの復元性を追究するため,パルスモータを指定した速度で揺動させるプログラムを作成し実験した.さらに,近接センサの球殻表面への取りつけ位置と向きが本来の状況からずれる場合の誤差を想定して加速度の計測値が場所によってどのように影響するかを明らかにした.以上の成果を,質量、力、トルクの計測に特化した国際会議IMEKO TC3で発表した.
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