研究概要 |
球殻内側に密着する弾性凹球内を自由に転がる金属球の位置計測に基づく三次元運動体の合成加速度検出法を提案し,試作した装置で有効性を実証した.実際に,球殻内に同心状に置く弾性層の荷重対変位特性を関連づける式を導出し,ゴム厚によって変わる様子を明らかにした.また,3つのプローブを互いに直交させて配置する球殻を三次元の運動体に固定する場合,加速度の方向と大きさの精度,作用力検出感度,がそれぞれ,0.13[rad](=7.4[deg]),0.097[m/s^2],0.089[N]以下になることを試作装置で実証した.金属球の過渡特性を表す不感帯と周期については,硬いゴムにおいて固有振動数が高く不感帯が狭いのに対し,軟らかいゴムにおいては低く不感帯が広いことを基礎実験で確認した.また,硬いゴムと柔らかいゴムの上記傾向は,大きい金属球と小さい金属球に対してそれぞれ同様に言えることを確認した.試作したセンサヘッドについては不感帯6.1[deg],振動周期2.4[s]と計算されたが,振動を観測できずこの発生が問題になることはないことを確認した.これらの結果は,高精度とは言えないが,例えば、管内を移動するロボットのように低速で全方向に移動する装置等に平衡感覚を与えるセンサとして有効と考えられる.開発した方法は,時間が経過しても誤差を累積しない特長をもつ.金属球は,転がりを利用するため,緩やかな加速度変化に追従し,飛翔しない限り幅広い加速度の検出に有効と考えられる.弾性層の代りに4つの風船状のゴム袋を球殻に内接する正四面体の頂点に挟み込み,金属球を転がりなく圧接支持することで加速度検出の精度や感度を向上させ,また,鋼球を中空にするなどしてセンサヘッドを小型・軽量化できると考える.
|