音叉型水晶触覚センサの接触状態をモデル化する上で、まず素材が金属のように単純である方が解析しやすい。そこで、音叉の右側半分の腕と基底部をそれぞれ2本の屈曲棒で表して、2本の棒の結合部に妹沢近似と捻りバネを、更に基底部の棒に接触する物体からの反力とセンサを保持するアクリルケースからの軸力を考慮した新たな運動方程式を採用して周波数解析を行った。金属の場合には、物体からの反力は変位とウィンクラー係数の積で簡単に表すことができる。解析の結果、ウィンクラー係数のある値までは周波数は一定で、それを超えると周波数は指数関数的に増加することが分かった。この解析結果を検証するために40×40×2mm^3の金属板5種類で接触実験を行った。触覚センサの周波数は金属のヤング率と密度の比に対して指数関数的に7Hzから14Hzほど増加し、また銅系(銅と真鍮)と鉄系(鉄、アルミ、ステンレス)というように縦波の音速の違いによって2つのグループに分かれた。運動方程式の次元からウィンクラー係数は金属のヤング率と密度の比に対応しており、実験に見られた周波数の増加を解析からも確かめることができた。生体のような粘弾性のサンプルとして硬さの違う8種類のシリコンゴムヘの接触実験も行った。触覚センサのインピーダンス変化とゴム硬度計の値、周波数変化とシリコンゴムのヤング率と密度の比にはそれぞれに相関が見られた。両者とも傾きの異なる2つの直線関係が得られた。生体の人工モデルであるシリコンゴムの硬さ・軟らかさは本触覚センサで測定できる。
|