研究概要 |
我々は,視線を用いたパソコンへの情報入力のために,遠隔ビデオ式の高精度の注視点検出装置の開発を行っている.非接触で検出したいため,本装置では,眼に近赤外線を照射し,ビデオカメラで使用者の眼を撮影し画像処理することで眼の特徴点から注視点検出を行う.高分解能の注視点検出を行うためには,目の画像を大きく写す必要がある.その観点から我々の考える注視点検出理論では,目の正確な3次元位置を求め,狭角カメラを目に向けて撮影し,眼の特徴点である瞳孔の中心と光源の角膜反射の中心の位置関係から狭角カメラの光軸と視線のなす角度を求め,視線と視対象との交点として視点を求めることを計画している. 本年度は、3次元瞳孔位置を広角ステレオカメラによって求め,そこにパンチルト台を用いて3台目の狭角カメラを向け,瞳孔中心と角膜反射中心を検出することに重点をおいて研究を行った.まず,左右のステレオカメラと3台目のカメラを同期させて駆動した.ステレオカメラの開口部に近い位置にそれぞれ複数の近赤外線LEDをリング状に配置した照明器を取り付け,それらをビデオフィールド信号に同期させて交互に点灯させた.また,3台目のカメラには,照明器を開口部に近い位置だけでなく,少し離れた位置にも設置し,それらを交互に点灯させた.3台すべてのカメラにおいて,フィールド毎に瞳孔の明るい画像と暗い画像が得られた.それらを画像差分することで,瞳孔が容易に検出できるようにした.ステレオカメラに関しては,予めカメラ較正を行った.結果,ステレオカメラによって2つの瞳孔の3次元位置が実時間画像処理によって算出でき,そこへ3台目の狭角カメラを向けられるようになり,同カメラで瞳孔中心と角膜反射中心が検出できるようになった.
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