研究概要 |
光学的計測系におけるスポット光の入射位置検出は,レンジファインダやモーションキャプチャなどの種々の実計測システムにおける,空間位置情報を取得する手段として,システム全体のパフォーマンスを決定づける重要な要素である.このようなスポット光位置の検出には,主として,CCD(Charge Coupled Devices)やPSD(Position Sensitive Detector)のような光学的位置検出素子が用いられることが多い,しかし,従来のCCDやPSDではスポット光位置の検出にとどまり,スポット光の入射角度の検出が原理的に困難であった.もし,スポット光入射角度の検出可能な光学的位置センサが実現できれば,従来の枠組みを越えた新たなスポット光を用いた計測系の展開が可能となる.そこで本研究では,スポット光の2次元入射位置と2次元入射角度の同時検出可能な新たな原理に基づく,アレイ型光学的位置検出センサを提案すると共に,その実用性について検討した. 前年度までにハーフミラーと2次元画像センサを用いた2次元スポット光位置及び入射角度検出センサのプロトタイプが完成している.今年度はこのプロトタイプセンサを用いて,レーザーレンジファインダを構成し,3次元形状計測システムへの応用を検討した. 1.まず,前年度の科学研究費補助金により購入した半導体レーザー光源と回転ステージ,測定対象を載せるための回転ステージ,レンズ系,前年度製作したプロトタイプセンサ,ステージコントローラー等を用いて,レーザーレンジファインダを構成し,三次元形状計測装置を製作した. 2.次に,入射角度検出センサを用いたレーザーレンジファインダに対応した鏡面物体用の三角測量式を導出し,今年度補助金により購入したパソコンを接続して,形状が既知な平板や円柱などの物体の3次元形状を測定した.測定対象は鏡面物体だけでなく,拡散物体や中間物体の形状も合わせて測定した.その結果,1%以内の測定精度が実現できた.また,測定時間も遮光マスクを用いた従来の方法に比べて,2〜3倍程度高速化され,提案したスポット光の入射位置と入射角度が検出可能な画像センサの有効性が実証できた. 3.さらに,種々の形状,表面反射特性を有する実際に用いられている種々の物体の3次元形状測定に対して,本センサを搭載したレーザーレンジファインダを適用し,その実用性を確認した.
|