本研究は特殊な振動現象である機械人工弁の可聴領域閉鎖音(クリック)の発生メカニズム解明をめざし、汎用型の高感度・高空間分解能の振動分布センサシステムの研究開発を第一の目的とするものである。具体的には送受光に光ファイバを使用した小型の光学式変位センサを開発し、これをアレイ化して振動分布を計測し可視化する。また、測定環境下でのキャリブレーション機能をセンサ自体に組み込むことにより汎用型のセンサへの発展をめざしている。本年度は振動分布計測システムの基本機能の研究開発に重点を置き、特に基本となる光ファイバ式変位センサユニットの研究を中心に行った。各種構造パラメータを変えたセンサユニットを評価した結果、高空間分解能実現のためには、隣接ユニット間の干渉を防止するための適度な集光が必要であると結論された。試作ファィバユニットと、人工弁試験装置を使用した計測で、感度・信号対雑音比ともに十分な性能が得られることを確認したが、集光レンズに汎用の部品を使用したために空間分解能は10mm程度しか得られなかった。平成15年度には小型の集光系を新たに設計し、少なくとも5mm以下の空間分解能を実現する振動分布センサシステム開発を目指す。汎用のレーザ変位計と可動ステージを使用したキャリブレーション機能に関してはその基本動作を確認し、センサユニットの感度・直線性の被測定反射面への依存性を補正可能との見通しを得た。平成15年度には、本計測システムを完成させ、機械人工弁可聴領域クリックの発生要因解明のための実験に取り組む計画である。
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