研究概要 |
本研究は特殊な振動現象である機械人工弁の可聴領域閉鎖音(クリック)の発生メカニズム解明をめざし、汎用型の高感度・高空間分解能の振動分布センサシステムの研究開発を目的としたものである。具体的には送受光に光ファイバを使用した小型の光学式変位センサを開発し、これをアレイ化して振動分布の同時計測を実現した。また、測定環境下での校正機能をセンサ自体に組み込むことにより汎用型のセンサへの発展をめざしている。 14年度は振動分布計測システムの基本機能の研究開発に重点を置き、特に基本となる光ファイバ式変位センサユニットの研究を中心に行った。各種構造パラメータを変えたセンサユニットを試作評価した結果、高空間分解能と高感度実現のためには適度な集光が必要であると結論された。その結果を基に15年度に光ファイバ式変位センサユニットの小型化を推進した結果、計測面のスポット径0.5〜1mm,同時計測時の空間分解能5mmで、サブミクロンレベルの振動変位が検出可能な変位センサユニットが完成した。また、同ユニットをアレイ化した振動分布センサを可動ステージ上に固定して駆動し、移動量をレーザ変位計でモニタしながらセンサユニットのキャリブレーションを行う校正システムを開発した。この校正機能により、被計測面の反射特性に依存しない計測精度の確保を実現した。 完成したセンサシステムを使用して、機械人工弁試験装置の弁保持部(シリコンゴム製)の振動分布を計測した結果、housingから離れるにつれ高周波数の振動成分が減衰していることが明らかとなった。この振動分布の空間的な不均一性が、可聴領域クリックの特殊性の原因と考えられた。これらの結果の詳細は、日本エム・イー学会,日本音響学会等で報告する予定である。
|