本研究はヒューマノイドロボットの安定な歩行実現を達成するために、ロボットの足首部ならびに足底部と環境となる床面との間に生ずる力学的な関係を取得するセンサ開発を行うものである。 そこで、ヒューマノイドロボットの動力学的な理論について考察を行い、足首部、足底部のセンシング構造を決め、本年度は足底部における圧力分布のセンシング機構について開発を行うこととした。また、その実験的な検証を行うために、HOAP-1(富士通研究所)を用いて歩行実験を行った。 足底部のセンシング構造としては、手、指に開発されている触覚センサを用いて構成した。すなわち、足底部に装着を考えるために、薄型であり、分布型出力を取得できる構造として、導電性ゴムを用いた。このゴムの上下に互いに直交するように櫛形電極を配置して、その交差する部分(要素点)において圧力に対する抵抗値変化を取得できるように構成し、また特性を劣化させる回り込み電流を抑制する方式を導入してセンサを構成した。 足底部に試作した触覚センサは導電性ゴム0.5mmのものを用い、電極を含め、厚み0.7mm、また、床面と接触するためにその保護用ゴムとして2mmのウエットスーツ用ゴムを用いた。 分布圧力を測定するために、30(行)x16(列)の要素点を構成し、1要素あたり、0から0.045Mpaの圧力に対して、0[V]から-10[V]の電圧を取得できるように試作した。 この触覚センサをヒューマノイドロボットの足底部に装着して、平面状、障害物が存在する床面上を歩行し、この歩行時における時間経過に基づいて触覚像の変化を取得した。障害物が存在する場合には、触覚像も精度良く取得できたが、平面の床面上を歩行する場合には均一な分布が得られず、ノイズが多くなった。このために、足底部と床面が広範囲の面接触となる場合には、その取得が困難である。そこで、この問題の解決は次年度に実施することとした。
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