研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続いて時分割発光方式二次元バーコード検知システムの実用化に欠かせない高検知分解能化を図るための基礎技術についての研究を行った。 1.広角集光レンズ系の開発 前年度の研究で開口マスクコリメータの開発により時分割発光方式を用いた最小幅0.25mmの3ライン二次元バーコードの検知範囲として12cm程度まで拡大しうることを確認したが、これ以上に大くすることは難しい。そこで、検知システムの高倍額化を図るために、より深い焦点深度を確保すべく複合マスクコリメータの構成及びレーザ光の焦点位置の最適化を行うと共に、検知感度を向上しうる開口40mm,焦点距離28.5mmの短焦点広角集光レンズを開発した。この結果、さらに14.2cmまで検知範囲を拡大できる検知システムを実現した。また、広角レンズによる検知範囲拡大要因を明らかにするために、受光窓のイメージ像を幾何光学的に求める手法を考案した。この手法を用いて分析したところ、長短の検知距離における検知能力が向上されているのは、広角集光レンズの大きな受光窓が受光レンズ外に逃げる光量を極小に抑止しうる故、フォトダイオードへの入射光量を増大できるためであることを明らかにした。この手法は光学系の受光のメカニズムを直接的・定量的に把握するのに有効であることも示した。これらの内容を電気学会電子・情報・システム部門大会にて発表した。 2.広角集光レンズの有意性に関する長焦点広開口受光レンズ系との比較検討 広角集光レンズの有意性を明らかにするために、広角レンズと同一開口からなる50mmの長焦点距離の広開口レンズを用いた受光レンズ系を試作した。かかる単純な長焦点広開口レンズでは、3ラインバーコードの検知範囲が12.2 cmまで劣化することを見出した。この要因は、フォトダイオードとスキャナミラー間の距離が実効的に長くなり、実質上の検知距離が長くなるためであり、検知信号レベルが減衰することからも確認された。これに対して広角集光レンズでは長焦点広開口レンズに比べ最大1.8倍程度大きな検知信号が得られ、その有意性が確認できた。この内容は、The 17^<th> European Conference on Solid-State Transducersにて発表した.
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