昨年度の研究成果および本年度の研究計画に基づき、以下の研究成果が得られた。 1.小型垂直レーダを用いた降雪雲から地上付近までの鉛直方向電磁波反射エコーの測定 本年度も継続して降雨現象を観測し、ドップラーレーダの基本動作の確認・降水量測定を行った。2004年12月からは降雪現象の測定を行い、電磁波反射エコーと電子天秤法による降雪強度との関係を解析した。高度ごとのレーダ反射因子から降雪粒子が落下する現象を連続測定した。また、電磁波スペクトル分布をガンマ分布関数で近似し、二つのパラメータα、εにて降雪パターンの分類を行った。さらに、降雪粒子の特徴を抽出することにより、降雪粒子をあられと雪片に分類することが可能となった。 2.画像処理手法による落下中の降雪粒子の形状および雪質解析 自然落下する降雪粒子を撮影するため、小型垂直レーダと同様に屋外に設置された観測塔内に落下する降雪粒子の映像観測を行った。シャッタースピードの異なる2台のカメラを用いてシステム全体の再構築を行った。降雪粒子の粒径と落下速度の関係から、降雪種(主に、あられと雪片)の分類が可能となった。この成果をまとめ、学会論文誌にて発表した。 3.レーダによる雪質測定システムの開発 1.と2.の両測定システムについて2005年1月、2月に同期観測を行い、2.の降雪粒子画像から得られた降雪種ごとに1.の二つのパラメータが異なることが見出された。この結果、二つのパラメータのみを用いて、降雪種の判別が可能であり、レーダから降水の種類および降水強度を算出することが可能となった。これら測定データおよび解析結果をデータベースに統合し、降雪予測因子の解析準備を行った。
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