研究概要 |
現在の気象予報では、数時間後の積雪深についてのみ予測が行われており、より詳細な降雪予測を行うためには、降雪の3次元空間分布、時間変化を詳細に測定する必要がある。本研究では、降雪粒子が降雪雲から地上付近に落下してくるまでの降雪過程を捕らえ、降雪量(降雪強度)の予測を行うことを目的としており、以下の成果が得られた。 1.小型垂直レーダを用いた降雪雲から地上付近までの鉛直方向電磁波反射エコーの測定 小型垂直レーダ(Micro rain radar, METEK製)を富山工業高等専門学校、電気棟屋上に設置し、春季から秋季の降雨現象を観測し、ドップラーレーダの基本動作の確認、降雨量測定を行った。2002年12月からは冬季降雪現象の連続測定を行い、電磁波反射エコーと電子天秤法による降雪強度との関係を解析した。下層大気圏下での高度ごとのレーダ反射因子から降雪粒子が落下する現象を連続測定した。また、電磁波スペクトル分布をガンマ分布関数で近似し、二つのパラメータα、εにて降雪パターンの分類を行った。 2.画像処理手法による落下中の降雪粒子の形状および雪質解析 自然落下する降雪粒子を撮影するため、小型垂直レーダと同様に屋外に設置された観測塔内に落下する降雪粒子の映像観測を行った。シャッタースピードの異なる2台のカメラを用いてシステム全体の構築を行った。密度を用いて雪質を定量的に表すことが可能であり、降雪粒子の粒径と落下速度の関係から、降雪種(主に、あられと雪片)の分類が可能となった。 3.レーダによる雪質測定システムの開発 2.の降雪粒子画像から得られた降雪種ごとに1.の二つのパラーメタが異なることが見出された。この結果、二つのパラメータのみを用いて、降雪種の判別が可能であり、レーダから降水の種類および降水強度を算出することが可能となった。これら測定データおよび解析結果をデータベースに統合し、降雪予測因子の解析処理を行った。
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