研究概要 |
ハイブリッドシステムの設計問題を考えるとき,物理的離散事象と論理的離散事象の2つに分類される.前者は不連続な物理システムであるが,一方,後者はコンピュータ等によるプログラミングで実現されるロジックであり,化学プラントなど様々なケースが後者に属することがわかる.これまではこれらの特性は無視され,同一の設計論が展開されてきた.しかし,制御の観点から考察した結果,両者には本質的な相違があることがわかった.この考察に基づき,まず,論理的離散事象のみを扱うサンプル値ハイブリッドモデルを提案し,そのシステムの特性をwell-posedness,解の再現性,可制御性の観点から考察し,連続時間モデルや離散時間モデルとの比較により,いくつかの結果を導出した.これにより,論理的離散事象を扱うハイブリッドシステムには,サンプル値ハイブリッドモデルが理論的に適切であり,かつ通常の離散時間モデルや連続時間モデルよりもはるかに解析的に扱いやすいことを示した.さらに,このモデルを用いて,有限時間の最適制御問題(フィードフォワード連続時間入力設計問題)を定式化し,基本的な仮定のもとで,その解を与えた.これは線形システム終端固定有限時間最適制御則を用いて,切り替え時間ごとに中間目標を設定し,それを最適化する混合整数計画問題に帰着したものであり,これにより連続時間制御系設計のための基本的枠組みが与えられたといえる.また,スイッチ駆動遷移ルールのもとでの区分的アファインシステムの解をある精度のもとで厳密に再現するシミュレータを開発した.
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