研究概要 |
本研究では,まず視覚サーボ問題を数学的にモデリングし,得られた数学モデルに基づき,制御系設計のための問題設定をおこなった.そして,設定された制御目的を満足するように制御系設計をおこなった.制御系設計の際には系のロバスト化のため,エネルギー関数を非線形Η_∞制御系設計法に基づき整形し,モデル予測における最適性を達成するように整形することで,視覚サーボ制御に対する非線形モデルΗ_∞予測制御系設計を進めた.同時に,ロボットとディジタル制御装置,カメラ・画像処理装置で構成される現有の視覚サーボシステムに,高速ディジタル制御装置とリアルタイム制御装置を組み入れて,基本的な動作が可能となるように実験の準備を進めた.そして,計算された制御則を実現するためのリアルタイム用ソフトウェアを開発した.この開発のためには,現有の開発支援用ソフトウェアを活用し,作業の効率化をはかった.また,実システムによる実験の準備として最適問題を解くアルゴリズムを考えシミュレーションをおこなった.開発された制御用ソフトウェアを高速ディジタル制御装置に移植し,視覚サーボ実験を実施した. ロボットマニピュレータ,高速ディジタル制御装置,カメラおよび画像処理装置を組み合わせて構築された視覚サーボ実験装置に対して,綿密な制御性能評価実験をおこなった.そして,得られた実験結果に対するデータ解析を,現有の高性能ワークステーションを用いておこなった.ここでは,実験の結果を系統的に検証するために,その平均的傾向とあわせて,最悪の状態でどのような振舞いをするのかについても十分に注意して検討を進めた.また,実験の結果とシミュレーションの結果を比較することにより,提案する制御則の制御性能と併せて開発したリアルタイム用ソフトウェアと最適問題を解く計算アルゴリズムについての検討もおこなった.そして最後に,研究成果のまとめと発表をおこなった.
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