研究概要 |
非線形システムの高次ボルテラ核を求めるのに、入力にM系列という擬似不規則信号を加え、出力との相互相関関数を求めるだけで、3次までのボルテラ核が求められるという筆者等が開発した方法において、唯一残っている問題点、すなわち異なる次数のボルテラ核の断面が重なっている個所から各々を分離するという方法につき検討を加え、本方法を実用上有用なものにすることが目的として研究を行った結果、次のような成果が得られた。 (1)入力M系列の振幅を変えると各次数のボルテラ核の振幅が異なる変化を示すということに着目してボルテラ核の分離同定を図るというもので、シミュレーションの結果、これまで分離できなかったボルテラ核を分離することに成功した。 (2)化学プロセスについて、この方法を応用して、3次までのボルテラ核が得られることを2002年6月に開かれAdCONIP(International symposium on Advanced Control of Industrial Processes)に発表した。 (3)この方法について、APCCM2002(Asia Pacific Conference on Control and Measurement)という国際会議にて、招待講演を行った。 (4)英国のCoventry大学で開催されたICSE(International Conference on Systems Engineering)という国際会議、および別府で開催されたAROB(Int.Conf.on Artificial Life and Robotics)に発表した。 (5)次にこのボルテラ核を分離同定する方法を非線形プロセスのモデル予測制御に応用することに成功し,その結果を韓国で開かれたICCAS(Int.Conf.Control, Automation and systems)という国際会議,および韓国の化学工学会誌であるKorean J.Chem.Eng.という学会誌に掲載された. この方法が確立されると従来同定が困難であった非線形なシステムやプロセスの同定が可能となり、計測制御工学の発展に寄与するところが大きいと考えられる。
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