研究概要 |
事前情報モデルを利用したモデリングから制御則設計に至るまでの統合化手法の構築に関係して以下の成果が得られた。 1.事前に推定が行われたARモデルパラメータを先験情報として有効に利用できることを明らかにした。すなわち、最小相互エントロピー原理に基づきBurg法を拡張することで新たなARモデル同定法を提案し,実音声データのスペクトル推定が本手法により有効に実現できることを示した。 2.柔軟構造物に代表される振動的な分布定数系に対し、物理的に求められる有限個のパラメータ区間に対応するシステムの不確かさを複素平面上の形状として評価できることを示し,それにもとづく非保守的な制御系設計の有効性を柔軟ビームの実験により例証した。この結果により対象の事前情報から定まる不確かさの拡がりを事後の周波数応答データによって縮小させていくグレイボックスモデリングの実現の可能性を示した。 3.熱伝導系における温度の空間L_2ノルムに関する制御問題が有限次元モデルを対象とするH_2/H_∞混合制御問題に帰着して解けることを明らかにした。ここで制御対象である熱伝導系のもつ複数個の時定数の一部が既知で残りは未知という前提にもとづいて問題を解いている。数値制御実験により,モデリングの妥当性と制御方策の有効性も示した。
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